活動報告~6月~ 第一弾
こんにちは。
一週間ぶりの投稿です。
前回の予告どおり、先週6月6日に行った読書会について紹介します。
西南文芸の読書会の基本的な進め方は、担当者がテーマ本を一冊決め、それについて、同好会のメンバーたちが「あーだ、こうだ」と語り合うオーソドックスなものです。
1901年(明治三十四年)生まれの作家。
孤独感や虚無主義を主題とする。
代表作に『檸檬』『冬の日』などがある。
『蒼穹』
1928年発表の短編小説。
白昼の広大な自然の景色の中、絶え間ない雲の生成を眺めているうちに、青空に虚無の闇を見てしまう不幸な感覚的体験を描写した作品。
写実的な自然描写が心象風景として表現される。
今回は主にこの作品の解釈について話し合いました。
『蒼穹』は鮮やかな風景描写が印象的な作品ですが、この風景描写に主人公である「私」の心象が表れていると推測できるため、空に浮かぶ雲ひとつとってみても、さまざま解釈が可能で「私」の身の上を想像する楽しみがありました。
「Lotus-eater(ロータスイーター)」
私にとってはその終日日に
倦 いた眺めが悲しいまでノスタルジックだった。Lotus-eater の住んでいるといういつも午後ばかりの国――それが私には想像された。
作中にLotus-eater という言葉が出てきます。訳するとロータスの実を食らいし者であり、ギリシア神話ではロータスの実を食べると浮世の憂さを忘れ至福の境地に至れるとのことです。ロータスイーターとは主人公の「私」のことであるという解釈もあり、個人的に面白いと思ったので紹介させていただきました。この言葉を意識しながら『蒼穹』を読んでみるのも楽しいかもしれませんね。